法律擬人化入門・著作権法編


著作権法と憲法の関係を法的に説明しようとするとなかなか難しいのです…。
後述するように、著作権法の法的な理論構成が独自に発達してきた事情が強いためかもしれません。


著作権法は、第2条第1項第1号で著作物の範囲を「思想または感情を創作的に表現したもの…」と定めています。
このため、その対象外(創作性が認められないもの)に関しては、民法上の不法行為で救済する判例があります。
なお、著作権法は民法の特別法に位置付けられますが、刑罰規定も持っています。
よく、「著作権法は親告罪」(被害者の告訴が必要)と言われますが、実際は権利内容によって取扱が異なります。
著作権法は私権としての性質が強いため、権利者の判断を尊重した制度になっていると考えられています。


新法と旧法で効果が異なる場合は、権利者に有利な方が適用されます。(附則第7条)


旧著作権法は明治時代にできました。
当時、諸外国と締結していた不平等条約解消の前段階として、ベルヌ条約への加盟が必要だったからです。
そのため、ベルヌ条約の持つ2つの特徴が著作権法に反映されています。
1)無方式主義…著作権の作成時に権利が発生し、登録等の手続きを要しない。
2)著作者人格権…著作物に対する人格的な権利の尊重。
この辺りの事情が、イマイチ憲法とも、一般的な国民の理解とも噛み合わない原因かもしれません。
なお、知的財産権には以下の法律も含まれます。
特許法・実用新案法・意匠法・商標法
これらは、産業財産法(工業所有権)と称され、特許庁の管轄、先願登録制という違いがあります。
※著作権法は文化庁管轄になります。

参考文献:
■参照サイト
『日本法令索引』(国立国会図書館)
『法令データ提供システム』
『著作権情報センター』
文化庁
文科省
■辞典
・金子宏ほか『法律学小辞典』(有斐閣, 第4版補訂版、2008)
■判例集
・中山信弘ほか『著作権判例百選』(有斐閣、第4版、2009)
■文献
・半田正夫『インターネット時代の著作権―実例がわかるQ&A付』(丸善、2001)
・山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(人文書院、2011)
・土肥一史『知的財産法入門』(中央経済社、第14版、2013)p269参照
・半田正夫『著作権法概説』(法学書院、第15版、2013)
・大日方信春「著作権と憲法理論」『知的財産法政策学研究 33巻 p229‐257』(北海道大学グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」事務局、2011.3)

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