刑法への道


仮刑律は旧幕府天領の一部に適用された臨時的な刑法で、公布されませんでした。
その為か、次の『新律綱領』をもって明治時代最初の刑法典とする説もあります。


新律綱領は初めて全国に領布された統一的な刑法です。
現在でいう公布はされませんでしたが、一般に印刷されたものが出回っていました。


新律綱領と改定律例は同時に運用されました。
このため、両法を収録した携帯冊子が出版され、
それが現在の携帯用六法の始まりとも言われています。
(参考)早稲田大学古典籍データベース


ボアソナードを中心として作られたフランス型刑法は旧派(古典派)です。
公布当時は新派(近代派)が台頭しすでに時代遅れになっていたそうです…。
その他、治安面で新しい情勢に追いついていない等の批判がありました。


現行刑法さんは旧刑法の体制を引き継ぎ、治安立法に合わせる形で
成立しているので肩身の狭い印象ですw
社会的責任を重視する新派の影響もあると思います。

(参考文献)
・『日本近代刑事法令集』司法省秘書課、1945
・手塚豊『手塚豊著作集第4巻 明治刑法史の研究(上)』慶応通信、1984
・加藤周一 編『日本近代思想大系 7 法と秩序』岩波書店、1992
・山中永之佑ほか『日本現代法史論 : 近代から現代へ』法律文化社 、2010

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